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D-REPORTにこれまで登場した用語解説
●特定保健指導担当管理栄養士

平成20年、特定保健指導における実施者として、管理栄養士の役割が明確に位置づけられました。特定保健指導では、単に対象者への種々の情報提供を行うのではなく、生活習慣を是正するための対象者の行動変容を実現する質の高い指導能力が求められています。日本栄養士会と都道府県栄養士会は、平成19年度に国が示した「標準的な健診・保健指導プログラム(確定版)」における「研修ガイドライン」に沿ったカリキュラム構成をベースに、多彩なグループワークを導入した「特定保健指導実践者育成研修」を、1万人を超える会員を対象に実施しました。さらに、この研修は、「保健指導担当者研修会」と名称を変えて、平成20年度以降も引き続き各都道府県栄養士会において開催されています。日本栄養士会では、この研修を終了した管理栄養士のうち、一定以上の資質と活動実績を備えた会員を『特定保健指導担当管理栄養士』として認定し、保健指導を担当する管理栄養士の資質を担保すると共に、同人材の積極的な活用を社会に働きかけています。(公益財団法人日本栄養士会)

ABI(ankle brachial pressure index)●足関節上腕血圧比

ABI検査は、手と足の血圧の比較や脈波の伝わり方を調べることで、動脈硬化の程度を数値として表したもの。この検査を行うことにより動脈硬化(血管の老化など)の度合や早期血管障害を検出することができます。ABI検査(足関節上腕血圧比)は足首と上腕の血圧を測定し、その比率(足首収縮期血圧÷上腕収縮期血圧)を計算したものです。
動脈の内膜にコレステロールを主成分とする脂質が沈着して内膜が厚くなり、粥状硬化ができて血管の内腔が狭くなる「アテローム動脈硬化」の進行程度、血管の狭窄や閉塞などが推定できます。ABIの測定値が0.9以下の場合は、症状の有無にかかわらず動脈硬化が疑われます。

Adiponectin ●アディポネクチン

脂肪細胞に特異的な分泌蛋白で、ヒトの血液中に5~20μg/mlと一般的なホルモンに比べて桁違いに多く存在する。作用としては、インスリン受容体を介さない糖取り込み促進作用、脂肪酸の燃焼、細胞内の脂肪酸を減少してインスリン受容体の感受性を上げる作用、肝臓のAMPキナーゼを活性化させることによるインスリン感受性の亢進、動脈硬化抑制、抗炎症、心筋肥大の抑制など。抗糖尿病作用を有するが肥満者では血中濃度が減少する。

CAVI(cardio ankle vascular index)●心臓足首血管指数

腕と足首の脈波から動脈硬化を計測する診断法。CAVIは血圧に依存しない方法として、定量化されているので、有用性が高いとされ、心臓移植前後でも安定した評価が可能という報告もあり、注目されている。メタボリックシンドロームの提案で、予防医学が注目される昨今では、新しい予防医学的指標として注目される。また、最近、脈波伝播速度から血管の血圧反射機能を診断する方法論も提案され、高血圧の診断と利用に有効性が期待されている。メタボリックシンドロームの早期診断や、高血圧の薬剤加療のフォローアップに使える新しい診断法として注目される。

CDEJ(certified diabetes educator japan)●日本糖尿病療養指導士
FBG(fasting blood glucose)●空腹時血糖、空腹時全血ブドウ糖

早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上の場合は「糖尿病型」と判定する。血糖値は記載のない場合は静脈血漿の値。

Frailty ●フレイル

高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態。

GA(glycated albumin =glycoalbumin)●グリコアルブミン

アルブミンにグルコースが非酵素的に結合したもの。その血中濃度は過去約2週間の血糖コントロール状態を表する。HbA1cと異なり、測定値は赤血球寿命の影響を受けないが、アルブミンの代謝交換率で変化する。

GAD抗体(glutamic acid decarboxylase antibody)●グルタミン酸脱炭酸酵素抗体

1型糖尿病の膵島関連自己抗体、1型糖尿病の診断・発症予知マーカーで、発症時の60~80%に検出され、陽性率が高い。2型糖尿病では陰性であり、2型糖尿病とlatent autoimmune diabetes in adults(LADA)の鑑別に有用。

IMT(intima media thickness)●内膜中膜複合体肥厚

動脈硬化の程度を調べる検査。首筋に超音波をあてて頸動脈の内部を画像として観察。動脈の血管壁は内側から内膜・中膜・外膜の3層になっており、動脈硬化の場合、内膜と中膜の部分が厚くなって、その分だけ血液が流れるスペースが狭くなっている。IMTは加齢とともに増加するが、1.1mmを超えることはなく、測定値がそれ以上になっていれば,動脈硬化が進展している可能性が高いといわれている。

IRI(immunoreactive insulin)●免疫反応性インスリン

血中インスリンの測定は、インスリン抗体に対する免疫活性(IRI)を測定する方法が主体であり、正常値は空腹で5~10μU/mlです。膵臓ランゲルハンス島B細胞でインスリンは、前駆物質プレプロインスリンとして作られた後、プロインスリンに転換され、さらにインスリンとCペプチドに切断され血中に放出される。Cペプチドもその免疫活性CPR(C-peptide reactivity)として測定され、その正常値は空腹時血中で1~3ng/ml、尿中CPRは40~100μg/日です。1日尿中のCペプチドの測定は内因性インスリン分泌量をみる指標となる。腎機能の低下している例では、血中Cペプチドは高めに出る。

LCDE(local certified diabetes educator)●地域糖尿病療養指導士
Locomotive syndrome ●ロコモティブシンドローム(運動機能症候群)

運動器の衰え・障害(加齢や生活習慣が原因といわれる)によって、要介護になるリスクが高まる状態。主な症状としては、変形性関節症、骨粗しょう症に伴う猫背(円背、亀背)など。さまざまな運動や体操が治療法として提唱されている。

Sarcopenia ●サルコペニア

進行性および全身性の骨格筋量および骨格筋力の低下を特徴とする症候群。筋肉量の低下を必須項目として、筋力または身体能力の低下のいずれかが当てはまればサルコペニアと診断される。

SMBG(self-monitoring of blood glucose)●血糖自己測定

簡易血糖測定器を用い、通常指先より採取した血液中のブドウ糖濃度を患者自身が日常生活において測定・記録し、治療に役立てる方法。インスリン治療患者では、在宅自己注射指導管理料における血糖自己測定指導加算として、保険適用が認められている。

Somogyi Phenomenon

ソモジー効果・現象(Somogyi effect)ともいい、ソモジーは発見者の名前による。インスリン療法を行っている患者さんで食事量に対しインスリン量が多い場合や、食事時間の遅れなどにより低血糖になり、その自然回復作用としてグルカゴンやアドレナリンなどのホルモンが分泌され、血糖値が上昇してしまう現象。暁現象と違い、1日のどの時間帯でも、起こり得る。

SPIDDM(slowly progressive type 1 diabetes mellitus)●緩徐進行1型糖尿病

発症時はインスリン療法を必要とせず食事、内服薬療法で治療可能であるが、GAD抗体、膵島細胞抗体(ICA:islet cell antibody)などの膵島関連自己抗体が持続陽性を示し、インスリン分泌能の低下が緩徐に進行して数年間でインスリン治療が必要となり、最終的にはインスリン依存状態になる。(糖尿病学用語集第3版、日本糖尿病学会編)