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■ 副作用・相互作用

 主な副作用は、口渇、多尿・頻尿、尿中ケトン体陽性、そして尿路感染症、性器感染症(とくに女性)などがあります。他には、ケトアシドーシス、脳梗塞、全身性皮疹など重篤な副作用も報告されています。また、重症低血糖は、他の糖尿病薬との併用において報告されています。

■ 使用上の注意

 SGLT2阻害薬の副作用を広く共有することで、副作用のさらなる拡大を未然に防止することが必要と考え、「SGLT2阻害薬の適正使用に関するRecommendation」が報告されました。
  • 1)インスリンやSU薬などインスリン分泌を促す薬剤と併用する場合は、低血糖に留意し、それらの用量を減じ、患者に低血糖に対する教育を十分行う。
  • 2)高齢者への投与は、慎重に適応を考えた上で開始し、発売から3カ月間に65歳以上に投与する場合は、全例登録する。
  • 3)脱水防止について患者への説明も含めて十分対策を講じる。利尿薬との併用は推奨されない。
  • 4)発熱・下痢・嘔吐・食欲不振などで食事が十分摂れない時は、必ず休薬する。
  • 5)本剤投与後、薬疹を疑わせる紅班など皮膚症状が認められた場合には、速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルトを行い、必ず副作用報告を行う。
  • 6)尿路感染・性器感染については、適宜問診・検査を行って発見に努めること。発見時には、泌尿器科、婦人科にコンサルトする。
  • 7)原則として本剤は当面2剤程度までの併用が推奨される。
 利尿薬と降圧薬の配合剤との併用により脱水による死亡例も報告されているため、合剤の成分に何が含まれているか注意が必要です。
 重症低血糖のうちのほとんどがインスリンとの併用例で、またSU薬との併用例も見受けられました。治験段階では、インスリン製剤との有効性および安全性は検討していなため、やむを得ず併用する場合は低血糖に万全の注意を払い、インスリン量を予め相当量減量する必要があります。
1)グリメピリドとの併用では2mg以下
2)グリベンクラミドとの併用では1.25mg以下
3)グリクラジドとの併用では40mg以下
その他、ケトアシドーシス、脱水・脳梗塞など、皮膚症状についても記載があります。

■ 服薬指導の実践

 SGLT2阻害薬で治療中は血糖コントロールが良好なときでも、尿糖検査の結果が陽性を示すため、患者に不安を与えないよう説明する必要があります。脱水・脳梗塞などを防ぐために、水分補給の必要性を説明し、特に夏場など気温の高いときには注意するよう指導します。
 また、発熱、下痢、嘔吐などいわゆるシックデイの場合でも、同様のことが起こりえるため、本剤を休薬するよう指導することが重要です。排尿時の痛み、トイレが近い、血が混じるなどの尿路感染症の症状の説明や、陰部のかゆみや痛み、おりもののにおいが強くなり、色が変わるなどの性器感染症の症状を指導します。特に性器感染症は、医療機関の受診をためらう可能性もあるため、薬で起こる副作用であることをきちんと説明する必要があります。
 腎機能が低下している患者には、効果が減弱するため、腎機能が正常で、インスリン分泌能が保たれ、肥満体型の患者がよい症例となると考えられます。また、死亡例も報告されており、利尿剤との併用には注意していただきたい。