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ナースの目

再出発で学びはじめた
糖尿病看護

金月 由美子 きんつき ゆみこ

手納医院(島根県)

 私は以前、総合病院に新卒から勤務し、第3子出産を期に退職し家庭に入りました。その間には、いくつかの病棟勤務を経験しましたが、観察や処置、記録に追われる日々でした。退院までのかかわりの中で、病気を見るのではなく病気を持った患者さんを見ることを心がけているつもりでしたが、日常生活とはいったん切り離して、医療側のペース、スケジュールで進められていくことも多く、それは病状的にも総合病院の役割上仕方ないことでもありました。
 そして、8年のブランクを経て現在の糖尿病専門医院に復職しました。昔一度は習ったはずの糖尿病ですが、恥ずかしながら患者さんを通して改めて学んでいる段階にあります。しかし、入院患者さんにかかわっていた頃とは大きく違い、日常生活の中にいる患者さんと一緒に生活や治療の内容を検討しながら生活に寄り添っていくかかわりに変わりました。来院される患者さんとは採血時間も含めわずかな時間のかかわりですが、一緒に喜んだり悲しんだり、質問や相談を受けたり、逆に参考になることを教えていただいたりしています。その度にきちんとした知識を持たなければいけないと反省します。また、総合病院時代の経験や、休職中に育児、介護、発病(甲状腺)と重なった私自身の経験も、ときには患者さんの気持ちに近づくことに役立っていることに気づかされました。
 その他に、地域の方々に向けた糖尿病教室や児童に向けた講演などにみんなでかかわっています。解りやすく伝えるためには、どんな言葉でどう表現するとよいかと悩みながらも、聞いてくださった方々の反応や意見・感想をいただき鍛え直してもらっています。また、難しい医学的内容の説明の場で理解を得るためによく絵を用いますが、ありがたいことに末娘は絵が得意で自分の医学的知識とすり合わせた絵を作成することができ、効果的に使わせてもらっています。
 スタッフの中で私一人年齢だけはかなり勝っていますが、能力的にも体力的にも足を引っ張り気味です。でも、若い仲間たちと一緒にうっかり年齢を忘れて楽しく勉強させていただいています。今後も患者さんの声をきちんと聞きながら共にがんばっていこうと思っています。