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服薬指導[糖尿病薬の適正使用のポイント]

どのように指導されていますか
SGLT2阻害薬の服薬指導

勝呂 美香 すぐろ みか

北里大学病院薬剤部
日本糖尿病療養指導士

厚田 幸一郎 あつだ こういちろう

北里大学薬学部教授
北里大学病院薬剤部長
日本糖尿病療養指導士

 一番最近発売された経口糖尿病薬が、ナトリウム依存性グルコース輸送担体(Sodium glucose cotransporter:SGLT)2阻害薬です。わが国では、2014年4月17日にはじめて発売されました。膵臓を介さず腎臓における糖の再吸収に着目した新しい作用機序の薬であり、インスリンとは独立した作用を示し、体重低下も期待できます。ただし、利尿剤との併用例で脱水による死亡例も出たため、使用する場合には、患者選択に注意が必要です。

■ SGLT2阻害薬の作用機序および特徴

 血中のブドウ糖は、いったん腎糸球体で原尿と一緒にろ過され、近位尿細管に存在するSGLTによって全て血液中に再吸収されます。正常であれば尿中にはブドウ糖は排泄されませんが、糖尿病患者の場合、再吸収がその閾値を超えてしまうため、尿中にブドウ糖が排泄されます。尿細管で再吸収を担っているのがSGLTであり、SGLT1とSGLT2の2つがあります。ブドウ糖の再吸収の90%がSGLT2によって行われています。
 SGLT2阻害薬は、特異的にSGLT2を阻害し、近位尿細管におけるブドウ糖の再吸収を抑制する結果、尿中にブドウ糖を排泄し高血糖を是正します(図)。各SGLT2阻害薬の特徴は表のとおりです。