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D-REPORT GUIDANCE

2型糖尿病患者さんの
薬剤処方

糖尿病専門医 土井 邦紘 どい くにひろ

土井内科医院院長(京都府)
糖尿病診療歴45年
日本糖尿病学会専門医・研修指導医
京都糖尿病医会 名誉会長(前会長)
全国臨床糖尿病医会 顧問(前会長)
日本臨床内科医会 学術委員会内分泌・代謝班 班長

新薬の登場で薬剤選択が複雑になり、的確な判断ができなくなることがあります。
薬剤処方に迷わないコツはありますか。

薬剤の処方は必ずしも新薬優先で行う必要はありません。情報にまどわされず、患者さんに応じていくつかの処方パターンを決めておくといいでしょう。

肥満傾向のある患者(BMI25以上)の場合

•尿中にケトン体が出ていないことを確かめる。
•食事、運動内容を聴取し、実施してから薬剤を処方する。
•低血糖を起こさない薬剤としてビグアナイド(2~3錠)を第一に選択。3~4か月して効果がない時は増量する。
•さらに効果がない時は、血糖の高さによってグリニド、α-GI、グリクラジド(20mg)またはDPP-4阻害薬(50mg)を朝食前に投与。コントロールが困難と思われた時はいずれか2剤を併用する。

肥満がない患者の場合

•インスリン分泌が少ない場合が多いので、インスリン分泌促進薬をまず使用することを考慮する。
•血糖の高さにもよるが、グリクラジド(20mg)から開始し、効果がない時は少し早めに増量する。
•グリクラジドを80mg使用しても効果がない時は、DPP-4阻害薬を低血糖に注意して使用。グリクラジドは減量して開始する。

他院からの紹介患者や転医患者の場合

•これまでの治療をまず踏襲し、この間に食事、運動をチェックする。
•転医による環境の変化は仕切り直しであるため、薬の処方を変えることなく、血糖のコントロールが改善されることがある点に留意する。