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糖尿病専門クリニックと実地医家をつなぐ医療情報紙『D-REPORT』
創刊にあたって

地域でかかりつけ医が
診る糖尿病

望月 紘一 もちづき こういち

望月内科クリニック院長(東京都)
日本臨床内科医会副会長

 増加し続ける糖尿病患者に対し、非専門医が糖尿病専門医と連携をとりながら診ることが少なくありません。
 ところで、地域で永く継続して診療にあたっている医師には、患者を診ていくうえで有利な点があると思われます。患者と同じ地域に居住していれば、患者の職業、家族構成などを知るだけでなく、永年、家族全員とかかわった結果、患者の性格、日常生活の状況などについても、求めなくても自然に熟知するようになります。また、一か所で30年も40年も継続して地域医療を担当していると患者家族の3世代、ときには4世代にもわたって主治医になることがあり、糖尿病についても、親子2代を続けて診ることがあります。長い経過で細小血管症や動脈硬化症などの種々の病態が進行する糖尿病の診療にあたり、身近な肉親の長い経過を知っている医師の話は説得力があろうというものです。
 最近の糖尿病治療の進歩は著しく、今後も新しい作用機序を持つ薬剤の登場が期待され、合併症に対してもより早期からの介入が必要とされています。しかしながら、生活習慣の是正への指導の重要性は変わりません。したがって、非専門医としては、糖尿病専門医、眼科医、腎臓病専門医等との連携を持ちながら、自分の立場の特徴を生かして診療していく必要があります。
 このたび、創刊されたD-Reportが専門医と非専門医との橋渡しとして広く活用されることを期待しています。