Home>バックナンバー>2015冬号TOP>症例から学ぶ
 運動指導で心がけることは、少しずつでも継続できる運動を具体的に示すことである。わざわざ運動時間を作らなくても、生活の中にとり入れていける運動や日常の身体活動量を増やすように指導することが重要である。

 また、「運動」という言葉に抵抗感を感じる患者も少なくない。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準 2013」でも、運動といえないような身体活動(日常生活における労働、家事、通勤・通学など)の重要性を述べている。身体活動が多い人はアルツハイマー病になりにくい2)との報告もあり、身体活動を増やすだけでも、有用であることを患者に伝えるようにしている。

 「運動する時間がない」患者自身もいろいろ工夫(表)3)して身体活動を増やす工夫をしている。我々医療者も「運動指導する時間がない」などといわず、さまざまな工夫をして運動指導を心がけて、日々の診療を行っていくべきであろう。

■文献
1)Dwyer T et al. Association of change in daily step count over five years with insulin sensitivity and adiposity: population based cohort study.BMJ 2011; 342:c7249.
2)Suvi Rovio, Ingemar Kåreholt, Eeva-Liisa Helkala et al, (2005)
 Leisure-time physical activity at midlife and the risk of dementia and Alzheimer's disease,The Lancet Neurology, Volume 4, Issue 11, Pages 705-711
3)調進一郎 「時間がない人への運動指導はどうしたらよいですか」,  糖尿病レクチャー(2巻2号2011)