ワンポイントガイダンス
糖尿病患者の診療にあたって重要視しなければならないことは、①急性代謝失調の是正、②長期に安定したコントロールを達成することである。したがって、初診時の血糖値やHbA1c、インスリン感受性指標などを頼りに、目先の血糖コントロールに汲々とすることは避ける必要がある。そのようにして得られた血糖の改善は、生活習慣への介入が十分でないことが多いことから、短期的な改善となり容易にリバウンドする可能性に注意しなければならない。本症例においては、あわてて是正するほどの急性代謝失調は認められないため、長期的な視野に立った治療が優先されると判断し、最初からの薬物使用は選択しなかった。糖尿病は生活習慣病であることから、深刻な急性代謝失調が認められない場合は、生活習慣を見直すことで症状が改善されるケースもある。患者と膝を突き合わせてきちんとヒアリングを行い、患者の性格的な部分も充分に観察したうえで、生活習慣の改善を基本とした無理のない治療計画を進めていくことが大切である。
①情報収集のポイント
最初の指導介入に当たった者が、院内の情報収集用紙に沿って聞き取りを行い、患者の日常生活や疾患に対する理解度を把握。医師だけでなくすべての指導スタッフが、患者の食生活や日常生活を知ることが大切。②問題点把握と共有
患者自身が自己生活習慣上や身体の問題点に気づくことが大切となる。患者と指導者が問題であると感じていることがずれていると、患者の行動にはつながらない。
指導スタッフも問題点を共有し、同じ意識を持つことが大切。
③知り得た情報から患者の全体像を理解
患者がどんな人か。理解力はあるのか。治療への意欲はあるか。患者がどんな生活をしているのかを想像することで、患者側の立場に立った指導計画を立てることができる。
④行動目標は患者自身のもの
患者が自分の意志で行動できるよう、指導者と患者の問題点のずれを修正していく。自己の病状を適切に知らせることで、いまなにをすればよいかを考えるようにする。
⑤評価
患者の評価:前回からの行動の変化を認め、次の行動目標を設定する。急激な行動の変化や血糖コントロールの改善は、無理していることがあるため注意する。指導者の評価:複数の指導者がかかわっているため、情報を共有するとともに指導方針にかたよりやずれがないかチェックする。当院では共通の指導カルテを使用することによりそれぞれの指導内容を把握している。



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