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■ 使用上の注意

 基本は、食事療法・運動療法を行った上で効果不十分が適応となる。以前は他の糖尿病薬との併用は制限があったが、現在GLP-1受容体作動薬以外の全糖尿病薬に拡大された(表2)。但し、スイニーに関しては、インスリン製剤と速攻型インスリン分泌促進薬との併用は、現在臨床試験実施中である(2014.5月現在)。
 一方、腎排泄型の薬剤は腎機能に応じて減量する必要があり用量にも注意が必要である(表3)。添付文書は改定されることもあるため、使用時には添付文書を一読していただきたい。
 DPP-4阻害薬とSU薬との併用で重症低血糖が起こる例が多く認められたため、「インクレチン(GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬)の適正使用に関する委員会」が発足され、「インクレチンとSU薬の適正使用におけるRecommendation」の追加修正が行なわれた。具体的には、SU薬を服用している患者に追加でDPP-4阻害薬を投与する場合、SU薬は減量が望ましい。重篤な低血糖を起こすケースの特徴は、1)高齢者、2)軽度腎機能低下患者、3)SU薬の高用量内服、4)SU薬ベースで多剤併用、5)シタグリプチン内服追加後早期に低血糖が出現、などである。1)グリメピリド服用患者は、2mg/day以下に、2)グリベンクラミドは、1.25mg/day以下に、3)グリクラジドは、40mg /day以下と目安はあるが、患者の状況に応じて投与量は考慮する必要がある。

■ 服薬指導の実践

 食事の影響を受けないため食前でも食後でもよく、薬剤によって異なるが1日1回または1日2回である。インスリンなど食直前投与の薬がある場合は、飲み方を統一することでコンプライアンス改善につながると思われる。飲み忘れた場合、食事との間隔が空いてから服用しても、単剤であれば低血糖のリスクは低い。しかし、他の糖尿病薬と併用している事も多く、薬による飲み忘れの対応が違う場合もあり、覚え切れないケースもある。当院では、インスリン併用時の打ち忘れも加味し、気づいた時点が食後1時間以内であれば服用するよう指導している。但し、薬の要性をきちんと説明し、あくまでも飲み忘れた場合の対応であると指導する。

■ 終わりに

 DPP-4阻害薬の登場で、糖尿病の治療が大幅に広がった。低血糖のリスクは低いが、他の糖尿病薬と併用することも多く、特にインスリンとの併用時には低血糖には注意していただきたい。

【参考文献】
1)各薬剤添付文書
2)各薬剤インタビューフォーム
3)日本糖尿病学会編,糖尿病治療ガイド2014-20115,文光堂
4)荒木栄一ほか,糖尿病治療薬の最前線,中山書店
5)朝倉俊成編,糖尿病薬物療法の管理,南山堂