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服薬指導[糖尿病薬の適正使用のポイント]

どのように指導されていますか
DPP-4阻害薬の服薬指導

勝呂 美香 すぐろ みか

北里大学病院薬剤部
日本糖尿病療養指導士

厚田 幸一郎 あつだ こういちろう

北里大学薬学部教授
北里大学病院薬剤部長
日本糖尿病療養指導士

■ はじめに

 Dipeptidylpeptidase-4(DPP-4)阻害薬は、2009年12月にシダクリプチンが初めて許可されたことに始まる。Glucagon-like peptide-1(GLP-1)アナログ製剤とともにインクレチン関連薬とも言われ、それまでの治療に加え糖尿病治療薬の選択肢が大幅に増えたことで、より患者に合わせた治療が行なえるようになった。単独投与では低血糖のリスクがほとんどなく、体重増加もきたさないとのことから、現在使用されることが多い薬の一つでもある。
使い方に関しては、腎機能に応じて減量する必要がある薬もあり、今回は、DPP-4阻害薬の適正使用について述べたい。

■ DPP-4阻害薬の作用機序および特徴

 食事刺激によって消化管から分泌されインスリン分泌を促進するホルモンをインクレチンと呼ぶ。インスリン分泌促進以外にも、グルカゴン分泌抑制なども報告されている。但し、インクレチンは腸管から分泌された後、depeptidylpeptidase-4(DPP-4)という酵素によって速やかに分解されるため寿命は短い。このDPP-4の働きを抑え、内因性のインクレチン濃度を上げることでインスリン分泌を図った薬が、DPP-4阻害薬である(図1)。主として、食後血糖を改善し、日内変動を小さくする効果が期待できる。各DPP-4阻害薬の特徴を示す(表1)。

■ 副作用・相互作用

 主な副作用は消化器症状である。他には、腸閉塞、急性膵炎、間質性肺炎などの重大な副作用報告、またテネリグリプチンはQT延長などの報告もある。低血糖は単独ではきたしにくいが、他の糖尿病薬、特にスルホニル尿素(SU)薬との併用では注意が必要である。詳細は添付文書参照のこと。