Home>バックナンバー>2014秋号TOP>施設紹介レポート

施設紹介ふくだ内科クリニック(大阪府)

食事の量と栄養バランス、
どのように指導されていますか。

福田 正博 ふくだ まさひろ

ふくだ内科クリニック 院長
日本臨床内科医会 常任理事
全国臨床糖尿病医会 理事

ふくだ内科クリニックの概要

・ 看護師:5人 ・ 管理栄養士:4人 ・ 臨床検査技師:1人
  CDEJ(日本糖尿病療養指導士):2人
  LCDE(地域糖尿病療養指導士):2人
・ 受診患者約1,100人/月
 〔糖尿病患者:約950人(1型糖尿病:約100人)〕
・ 平均年齢:約58歳 ・ 男性患者の割合:約65%

 ふくだ内科クリニックは、新大阪のビジネス街の一角にあります。院長の福田先生は、糖尿病専門医として約30年、治療の傍ら糖尿病の正しい知識や療養法の啓発活動にも取り組み、まとめられた一般向けの糖尿病関連書籍は5冊に及びます。学生時代からコンピューターに慣れ親しんでこられた先生が作られたホームページは、患者さんの目線でわかりやすく具体的な糖尿病療養のノウハウが紹介されています。

Q:初診の患者にはどのような流れで診察をされますか。

福田:初診時には、2種類の調査表を活用しています。調査表①は、病歴や家族歴、生活習慣などを看護師が聞きとり、調査表②では、食生活や生活習慣、患者さんが心配していることや要望などを、栄養士が30~40分かけて調査表の内容をもれなく聞きます。
 医療スタッフが聞き取りした結果をまとめ、その内容の報告を受けてから診察に入ります。時間をかけて問診をしますので、初診の糖尿病患者さんは予約制で1日に2人としています。

Q:再診の場合はどうされていますか。

福田:採血時に看護師が患者さんから前回の診察時から来院時までの生活状況について聞き取り、そのポイントを記入した付箋をカルテに貼ったり、また栄養士は待合室にいる患者さんのちょっとした栄養相談にのり、その内容もポイントのみ付箋でカルテに貼り付けます。診察時にはその付箋をみて診察を進めます。
 この栄養相談は、栄養指導料を算定せず患者サービスの一環として行っています。 
 また合併症のスクリーニングは足や歯周病のチェックシートを用いて定期的に行っています。歯周病や網膜症は、近隣の歯科や眼科の先生方と密に連携をとりあっています。

Q:先生の著書には食事療法に関するものが多いですね。

福田:食事療法は糖尿病治療の基本療法というべき一番大切なものですが、当院のように栄養士がいても、この指導が一番難しい。特に栄養士のいない実地医家の先生方はとても苦慮されていると思いますが、いかに患者さんの食生活をサポートしていくかが治療を成功させる上でも重要です。
 「食品交換表」(日本糖尿病学会発行)でカロリー計算していく方法もありますが、なかなか自炊をしない単身赴任の男性などはできません。そこで、当院では患者さんがどういった食事をしているかを綿密に聞き取り、どこを補正すれば一番効果的か栄養士と相談するところから入ります。最初からこの食品は何単位で…などは、あまりやりません。

Q:それでは実地医家の先生が患者さんに1日の摂取カロリーや栄養バランスについて説明する場合、どのような方法をお勧めされますか。

福田:基本的にはBMIと運動量を参考に1日に必要なエネルギー(食事の適量)を算出し、指示されてはどうでしょうか(図1)。その適量(カロリー)を、糖質50〜60%、蛋白質15~20%、脂質20~25%、の割合で食べると栄養のバランスがとれます。