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ナースの目

患者さんとともに歩む

池田 志穂 いけだ しほ

杉本クリニック看護師長(福岡県)
日本糖尿病療養指導士
福岡県北九州地区糖尿病療養指導士
北九州CDEの会副会長

 開院当初から勤務させていただき来年で四半世紀を迎えます。 “向上心がない人は要らない”経営者ならば当然と思える言葉を採用時に聞いたことがあり、それが今でも自分への励ましの一言になるときがあります。
 いまひとつ頑張りが足りないときにはこの一言を思い出しながらスタッフにも声をかけるようにしています。たとえば参加が少ない糖尿病教室や、ウォーキングの会をどのように改善するかなど。皆の知恵で春と秋のウォーキングでは患者さんに役員として手伝って頂き、今では50人を越える参加となりました。糖尿病教室は趣向を凝らし内容を充実させたところ“楽しく学ぼう”をモットーに約30人が参加予定です。
 患者さんには事あるごとに“糖尿病は自分自身が良くなるようにすればいい。一人ひとりがよいということは糖尿病社会全体がよくなるんですよ”と言ってきました。社会貢献にもなるし医療費節減にもつながり、まさにエコです。そのためにできることは何かを挙げて、一つずつ実践していただければ有り難いと思います。
 患者さんへのかかわりが多いほどHbA1cが改善するというデータがあることを知り、採血時にはスタッフが必ず声かけをして短時間でも話を聞くようにしています。きっかけ作りとしては、以前から月替わりの指導を取り入れていて、インスリン注射導入後の硬結の確認や日常生活での注意を診療待ち時間に個人別にパンフレットを用いて話しています。今年の夏は熱中症対策でした。スタッフ間では5分以内と取り決めをしていても話が発展し、情報収集や助言につながることは多々あります。
 “当院に通院されている患者さんは皆身内だと思って合併症を出さないように、合併症で転院をさせなくて済むように”という思いは今でも変わりません。
 診療予約という約束事を守り、元気に通院してくださる患者さんのお姿には感謝の気持ちでいっぱいです。
 ともに年を重ね若かりしころの勢いは少し潜めましたが、経験に基づく知恵は仲間とともに共有して患者さんに還元出来ればと考えています。“元気にしちょったかね”と患者さんに逆に尋ねられることもあり、うれしいようなちょいと複雑な気持ちにもさせられて勤務している今日この頃です。