Home>バックナンバー>2015冬号TOP>施設紹介レポート
 またメディアを活用することです。たとえば、インターネットで「糖尿病3分間ラーニング」(創新社)は、3分間で糖尿病の基本から学べるアニメが50タイトルくらいあります(図2)。その他にも製薬会社が患者さん向けに解説したWEBも活用できます。これらは大変内容が充実しているのでタブレット端末などで、診察の前後に待合室で「今日はこれとこれを見て下さいね」と見てもらうと、診察の流れを止めることなく、スムーズに患者教育がこなせます。

Q:体脂肪模型(図3)は、どのように活用するのですか。

大橋:図3は、1kgの脂肪の塊サンプルです。1kg(約7,000kcal)痩せるというのは、どのようなことかを視覚で訴えます。待合室の食事のモデルショーケースの上に置いてあり、患者さんが見てびっくりされます。体脂肪で1kg減量するには15時間のジョギングが必要です。サウナに入れば2、3kgは簡単に減量できると考える肥満患者さんは、その後が続かず、リバウンドすることが多いと思います。最初の数kgは除水効果が主で、3kgからが真の脂肪減につながるので、生活習慣の改善によりそのハードルを乗り越えるように誘導します。

Q:どうすればそのハードルは超えられますか。

大橋:肥満者の運動能力は低下しており、運動による減量は運動器障害を来たすことが多く、期待できません。運動療法は摂取エネルギー減による筋肉量の低下防止のためで、食事療法、特に間食の中止が効果的です。携帯電話のカメラを使った数日間の食事写真は、立派な食行動記録になり、患者さんの生活状態も見え、ライフスタイルの理解には大変有効です。食事指導のポイントは、思い込みや勘違いしている食行動の間違いに、気づきを与えることです。
 例えば、写真の中に豆腐が多ければ、きっと患者さんはヘルシーなタンパク質でダイエットに良いと考えていると思います。しかし豆腐は1/3丁(100g)で約80kcalもあり意外と高カロリーで、そのエネルギーの大半はタンパク質ではなく、6割が脂質であることは知られていない事実です。大豆油はご存知ですね(笑)。ビール350mLには、約10gの糖質が含まれ、そのブドウ糖量は砂糖(ショ糖)に換算すると20gに相当するのは驚きです。
写真 体脂肪1Kg