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糖尿病聴診記

血 筋

細田 庸夫 ほそだ つねお

野島病院・健診センター長
(鳥取県)

 私は今、人間ドックを担当していますが、空腹時血糖が高い方には「血筋」を説きます。
 血縁者に糖尿病の方がいる場合は、「年をとったら糖尿病になるかもしれない、太ったら糖尿病になるくらいの覚悟で過ごしてください」と伝えます。すでに的中している方もまれではありません。
 両親のどちらかが糖尿病で、太っている方には、「今の体重をそのままにしていると、将来糖尿病になる確率は高いと考えてください」と話し、毎週1回の体重測定を勧めます。
 「血縁者に糖尿病の人はいない」と強く否定される方には、「あなたのご両親などは、糖尿病になりたくても、なれなかった。戦前と戦後すぐの日本人は、全員が“糖尿病の治療食”を食べていたのです」と説明します。
 血縁者に、“軽い糖尿病”“糖尿病の予備軍”“境界型糖尿病”“糖尿病になりかけ”の方がいると答えた方には、「すべて糖尿病と考えてください」と説きます。
 それでも納得できない表情の方には、「両親がともに糖尿病の場合、その子どもさんは高い確率で、糖尿病になっておられます」と言いますが、医学的に正しい表現かどうか、ちょっと自信がありません。
 糖尿病で治療中の方には仏事などで、親類が集まったときに、糖尿病かどうかを聞いてくださいと勧めています。そのとき、「わしゃ、太ってもおらんし、症状もない」という方が必ずおられます。そういう人には、「『糖尿病は血の検査をしないとわからない』と伝えてください」と一言付け加えます。