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症例から学ぶ那珂記念クリニック(茨城県)

求められる待ちの姿勢





遅野井 健 おそのい たけし

那珂記念クリニック院長
日本糖尿病学会専門医・ 研修指導医 日本糖尿病協会理事
茨城県糖尿病協会会長

道口 佐多子 どうぐち さたこ

那珂記念クリニック副院長
日本糖尿病療養指導士
茨城県糖尿病療養指導士会会長

いたずらにHbA1c値を下げることを意識せず、患者さんの療養への前向きな姿勢を 引き出すことで、血糖コントロールが良好に保たれるようになった症例を紹介する。

①初回指導:情報収集

  • 食生活
  • ・朝食:欠食
  • ・昼食:外食
  • ・間食:職場に常時菓子(和・洋菓子)が置いてあり、
    だらだら摂取する
  • ・夕食前に空腹感あり菓子類を摂取
  • ・就寝前:果物
  • 欠食時にはインスリンは打たない。
  • 1日の指示エネルギー量は2000Kcalと理解している。
  • インスリン中止となったため、自己血糖測定
    (SMBG)で血糖の変動を自覚してもらうこととした。

  • 食事指導を受け、食事記録を勧めた。
  • 指導中のA氏のコメント『N病院で指導は十分受けました。知識はあります』『自分で何が悪いのか予想はつきます』

指導ポイント
日常の食生活の聞き取りにより、A氏自身が問題点に気付いたと思われたため、本人の意思を尊重し、生活習慣に対する具体的な指導は行わなかった。さらにインスリン注射の中止により食事療法の重要性を理解するため、SMBGは食前のみでなく食後などランダムに測定することを勧め、食事内容により血糖値が変動することを理解できればよいと考えた。