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服薬指導[糖尿病薬の適正使用のポイント]

どのように指導されていますか
α-グルコシダーゼ阻害薬の
服薬指導

勝呂 美香 すぐろ みか

北里大学病院薬剤部
日本糖尿病療養指導士

厚田 幸一郎 あつた こういちろう

北里大学薬学部教授
北里大学病院薬剤部長
日本糖尿病療養指導士

 α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)は、膵臓を介さず、小腸における糖質分解酵素であるα-グルコシダーゼを阻害し、糖質の吸収を遅らせることで食後の高血糖を改善させる経口血糖降下薬です。インスリンを含め、ほぼすべての糖尿病薬との併用が可能です。
 単独での使用では、低血糖の可能性は低いとされていますが、低血糖時にはショ糖ではなくブドウ糖の摂取が必要となるため、服薬指導をきちんと行う必要があります。
 また食直前投与で、食後投与では効果が落ちるので、用法の説明も重要です 。

①作用機序と特徴

 糖質は、唾液のアミラーゼで二糖類へ、その後小腸粘膜のα-グルコシダーゼによって単糖へ分解され、栄養素として血液中に吸収されます。

そのため食後に血糖値が高くなりますが、健常者では、インスリンが適正に働き、食後高血糖にはなりません。しかし糖尿病患者では、インスリンの働きが血糖値上昇とタイミングが合わない、または血糖値に見合ったインスリン量が分泌されず、食後高血糖となります(図左)。α-GIは、小腸粘膜の二糖類分解酵素であるα-グルコシダーゼの働きを阻害して、食後高血糖を改善させるので、食直前投与です(図右)。
 各薬剤の特徴として、ボグリボース錠0.2mgのみ、耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制の適応があります。アカルボースには、α-アミラーゼ阻害作用もあります。アカルボースとボグリボースは消化管から吸収されず、ミグリトールは吸収されるため、消化器症状が少ないとされています。ただし、α-GIは糖質の吸収を遅らせるだけで、最終的には糖質は吸収されます。

図 α-グルコシダーゼ阻害薬の作用機序