Home>バックナンバー>2015秋号TOP>施設紹介レポート

施設紹介自由が丘横山内科クリニック(北海道)

糖尿病患者の
「通院中断」を防ぐ

横山 宏樹 よこやま ひろき

自由が丘横山内科クリニック
理事長
日本糖尿病学会評議員・専門医
全国臨床糖尿病医会理事 学術委員

畑中 麻梨恵 はたなか まりえ

管理栄養士
糖尿病療養指導士

 糖尿病には、継続した治療が欠かせない。しかし、さまざまな理由から、 通院を中断する患者が後を絶たないのが現状だ。
 平成24年の国民健康・栄養調査によると、20歳以上の「糖尿病が強く疑われる者」のうち、 29.0%が「ほとんど治療を受けたことがない」、5.8%(男性7.0%,女性4.4%)は「以前受けたことがあるが、 現在受けていない」と回答した。東京都区南部の糖尿病地域連携システムでは、3年以内に24.4%1)、新潟県長岡市での調査では、33.1%がかかりつけ医への通院を中断2)。 なぜ、これほど多くの患者が、治療を中断し、糖尿病を放置しているのだろうか。
 自由が丘横山内科クリニックは、決して交通の便が良いとはいえない帯広市にある。 院長の横山宏樹先生に、通院継続への取り組みについてお話を伺った。

 平成17年1月~3月に自由が丘横山内科クリニック(以下横山クリニック)を受診した882人のうち、平成18年5月~7月にクリニックを再診したのは、788人(91.9%)。転居や死亡などによる25人を除き、69人(8.1%)が通院を中断していた。  
 横山クリニックでは、通院継続へのアプローチを検討するため、通院継続、中断、双方の患者に、聞き取りと郵送によるアンケートを実施。糖尿病に関する知識や、通院に対する意識を調査した3)
 その結果、中断群では、「仕事が忙しく、通院の時間が作れない」「交通の便が悪く、通院が困難である」「家族の協力が得られない」「医師や医療スタッフの対応に不満がある」などの回答の割合が有意に高かった。一方、「糖尿病に関する知識」や「糖尿病に関する心理」「通院の心理」の項目では、両群で有意な差は見られなかった。