Home>バックナンバー>2015秋号TOP>症例から学ぶ

症例から学ぶソレイユ千種クリニック(愛知県)

基礎インスリンの
適正な用量設定の重要性





木村 那智 きむら なち

ソレイユ千種クリニック・院長

 近年、強化インスリン療法を行っている糖尿病患者、特に1型糖尿病患者において、「カーボカウント」の普及が進んでいる。カーボカウントとは、食事の糖質量に応じて追加インスリン(超速効型インスリン)の量を調節するもので、カーボカウントの学習会は医療者、患者向け共に盛況である。
 一方、基礎インスリン(持効型インスリン)の用量設定については、論じられる機会が少ない。さらに、BOT(Basal Supported Oral Therapy)登場時に盛んに言われた「基礎インスリンはたっぷりと」「朝の血糖値が目標に到達するまで増量」「朝の血糖を制する者はコントロールを制する」などといったフレーズが強化療法にも持ち込まれ、基礎インスリン過剰となり、低血糖や体重増加に悩まされる症例が後を絶たない。当院で経験した典型的な症例から、基礎インスリンの適正な用量設定について考える。

①主治医の指示

・基礎インスリン:インスリン デグルデク
(以下デグルデク)/就寝前12単位

・追加インスリン:インスリン アスパルト
(以下アスパルト)/毎食前6単位

・食事療法1600kcal

②実際の治療状況
食事療法は自分なりに心がけているが、年齢相応な生活もあり、常に徹底しているわけではない。食事量が多いときは、主治医に内緒で追加インスリンを1〜2単位多めに打ち、食前血糖が200mg/dLを超えた時も1単位増量している。

③血糖コントロール状況