症例から学ぶソレイユ千種クリニック(愛知県)
基礎インスリンの
適正な用量設定の重要性
ソレイユ千種クリニック・院長
近年、強化インスリン療法を行っている糖尿病患者、特に1型糖尿病患者において、「カーボカウント」の普及が進んでいる。カーボカウントとは、食事の糖質量に応じて追加インスリン(超速効型インスリン)の量を調節するもので、カーボカウントの学習会は医療者、患者向け共に盛況である。
一方、基礎インスリン(持効型インスリン)の用量設定については、論じられる機会が少ない。さらに、BOT(Basal Supported Oral Therapy)登場時に盛んに言われた「基礎インスリンはたっぷりと」「朝の血糖値が目標に到達するまで増量」「朝の血糖を制する者はコントロールを制する」などといったフレーズが強化療法にも持ち込まれ、基礎インスリン過剰となり、低血糖や体重増加に悩まされる症例が後を絶たない。当院で経験した典型的な症例から、基礎インスリンの適正な用量設定について考える。
食事療法は自分なりに心がけているが、年齢相応な生活もあり、常に徹底しているわけではない。食事量が多いときは、主治医に内緒で追加インスリンを1〜2単位多めに打ち、食前血糖が200mg/dLを超えた時も1単位増量している。
③血糖コントロール状況