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明日の診療に使える ♦最新トピックス♦

1日の歩行30分未満
糖尿病のリスク1.23倍高く

国立国際医療研究センターなどが行っている大規模コホート研究
「JPHC Study」によると、1日の歩行が「30分未満」の人は、「2時間以上」歩く
人に比べ、糖尿病になるリスクが高いとの研究結果が明らかとなった。

 研究チームは1998年~2000年度、自分が糖尿病であるとは思っていない男女2万6488人(調査時平均年齢62歳、男性36%)を対象に、1日の歩行時間を調査。血液検査で、このうち1058人が糖尿病であることがわかった。
 年齢や性別などの影響を排して解析した結果、1日の歩行時間が「2時間以上」の人に比べ、「30分未満」の人では、糖尿病になるリスクが1.23倍と有意に高かった。「30分以上2時間未満」の人とでは、有意な差はみられなかった。
 なお、BMIを調整した場合も糖尿病発症と歩行時間には有意な関連が認められた。身体活動による体重への影響とは独立して、歩行時間と糖尿病リスクとの関連が示唆された。
 これまでも、「身体活動量を上げることは、糖尿病発症に対して予防的に働く」ことが欧米の研究では報告されていたが、アジア人、特に日本人を対象とした研究では、その関係が十分に明らかにされていなかった。本発表は日本人においても糖尿病治療における運動療法の重要性を裏付けるものとなった。(Journal of Epidemiology 2015年12月電子版)
 運動の中でも、散歩、ウォーキングは多くの人にとって手軽に実践しやすい活動である。1日2時間以上の歩行を目安に、糖尿病患者だけでなく健康な状態であっても、運動指導を行いたい。(編集部)