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症例から学ぶ医療法人社団ユスタヴィア 多摩センタークリニックみらい(東京都)

患者のやる気を引き出す
目標設定のポイント

-海外との往復生活で生活環境が変動する症例-


宮川 高一 みやかわ たかいち

医療法人社団ユスタヴィア
多摩センタークリニック
みらい理事長
日本糖尿病学会学術評議員、
専門医、指導医

 妻が声楽家で、ウィーンと日本を行き来する症例における、初診時の問診設定の仕方、HbA1c変動の読み方、生活環境に対応した薬剤の選択について紹介する。甘いものが止められず、来院の機会が限られる患者で、モチベーションをどのように維持していくかが課題となる。

 患者と共同で、ほぼ実現可能な、具体的(数値化できる)目標を、2~3個立てる。初診時は、薬を処方するとしても必要最小量が良い。
 2回目の診察では「こんなに少ない薬で良くなったね。何をしたの」と尋ねる。大抵の患者は「特に何もしていない」と答えるが、「バス停までは歩く」「階段を使う」「ビールを週に2日抜く」など患者なりの行動を起こしていることが多い。「それはいいね。それだけでいいので、もう1カ月やってみましょう」と励まし、繰り返し患者の自己効力感を引き出す。