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施設紹介原口内科・腎クリニック(山梨県)

透析患者はなぜ減らない?
~糖尿病を悪化させない治療~

原口 和貴 はらぐち かずたか

 日本透析医学会の統計調査によると、2013年わが国の透析患者数は約31万人。
原疾患は、糖尿病腎症が最も多い。
原口内科・腎クリニック(以下原口内科)は、糖尿病の初期から
透析になっても継続して診ることができる腎と糖尿病の専門施設だ。
院長の原口和貴先生に腎機能からみた、糖尿病診療のポイントをお話しいただいた。

 わが国の透析患者数は、高齢化を背景に増加の一途をたどる()。中でも、糖尿病腎症からの透析導入患者は37.6%と最も多い()。

 原口内科は、「予防と連続性」を治療の理念として掲げている。「『メタボリック症候群を糖尿病にしない。糖尿病を悪化させない。腎症の人を透析にしない』よう、予防に力を入れています」

 普通、患者は病状が悪化するに従って、一般内科から糖尿病専門医、腎臓専門医から、透析施設へと医療機関を移る。しかも、患者は各施設で「このままだと合併症が悪化して、大変なことになりますよ」、極端な場合「透析になったら終わりだよ」などの『脅し』を、それぞれの主治医に言われていることが多い。あたかも『負け組』のような扱いを受け、だんだんと卑屈になる患者も少なくないという。

 「透析患者さんの多くは、糖尿病と長く付き合ってきた、ご高齢の方です。心臓や脳など、他の病気にならないようにがんばって、最後に腎臓が悪化してしまった人。それなのに病状が進んでしまうと、『もううちでは診れない』とさじを投げられてしまう。新しい施設でやっと落ち着いたと思ったら、『次は透析に行け』では、患者さんは、医師から見捨てられたように感じてしまいます」

 患者の心情を思えば、1つのクリニックでできる限り最後まで診ることが望ましいのではないか―。そう考えたのが、開業の1つのきっかけと、原口先生は言う。