Home>バックナンバー>2016夏号TOP>>極める! くすりと療養指導

病態に合わせた薬物療法の考え方

 国内では、2型糖尿病患者への薬物選択に、特定の薬剤の指定はない。「糖尿病治療ガイド2016-2017」(日本糖尿病学会編・著)では、「患者の病態、合併症、薬剤の作用特性などを考慮して薬剤を選択する」と記載されている。つまり、代謝異常、年齢、肥満、慢性合併症、肝機能・腎機能、ならびにインスリン分泌能やインスリン抵抗性などの程度を評価して、個々の薬剤の特徴(機序や主な作用)を理解した上で、薬剤を選択する必要がある。

 では、2型糖尿病の病態の特徴として①インスリン抵抗性の増大、②インスリン分泌能の低下、③高血糖の3つのポイントにまとめられている。薬剤を併用する場合には、作用が異なる薬剤を選択する。

“インスリンの作用不足”に着目する

 また“インスリンの作用不足”という観点に着目して考えると、のように【1】身体が必要とするインスリン量を減らす、【2】膵臓からのインスリン分泌量を増やす、【3】不足するインスリンを注射で補う、となる。これはあくまでも目安であり、2型糖尿病患者の糖尿病薬の考え方を読み解く第一歩として受け止めていただきたい。
 患者にシックディ対応を指導するには、まずは医療者自身がこれら治療薬の考え方を熟知する必要がある。次回さらに詳しくについて解説する。