Home>バックナンバー>2016夏号TOP>ナースの目


皆藤 章 かいとう あきら 先生
(京都大学)

 臨床心理学者の皆藤章先生は、「ケアすることの意味」をテーマに講演された。「病を抱える人の中では、常に『なぜ自分は病気になってしまったのか』『なぜ生きなければならないのか』『死ぬとはどういうことか』というようなテーマが、揺れ動いている。われわれ医療者は、そのことに心を寄せておくことが大切である」と説かれ、「自分の生きがいや、働くことの意味など、そういった青臭いことについて、今一度思いをはせてほしい」と締めくくられた。


石井 均 いしい ひとし 先生
(奈良県立医科大学)

 石井均先生は、「糖尿病物語」と題し、ある1型糖尿病患者さんとの、約20年に及ぶ治療遍歴を紹介された。
 講演後、参加者より「手こずり患者への対応」について質問があり、「医療者も患者もつらいことはつらいし、腹立つことは腹が立つ。でも、うまくいかない患者さんほど、後々宝物になる」と、石井先生ならではの機知に富んだ回答に、参加者は大きくうなづいていた。


平尾 紘一 ひらお こういち 先生
(H.E.Cサイエンス
クリニック)

 本会の顧問でもある平尾紘一先生は、「医療学を語る」をテーマに、「糖尿病医療に携わって50年」と題した講演をされた。患者会主催の、その名もズバリ、「大福を2個食べて、血糖を測る会」や、普段節制している患者が、ここぞとばかりに食べまくる、「やけ糖尿の会」など、ユーモアに満ちた数々の企画を紹介。平尾先生は、「ケアとは、『待つこと』『耐えること』である」と述べ、「“患者さんから学ぶ”姿勢が大切である」とまとめられた。

 平成25年厚生労働省の人口動態統計によると、神奈川県は、糖尿病の死亡率7.1(人口10万人対)で、全国ベスト1位である。全国平均11.0を大きく下回るのは、早い時期から地域医療連携の拡充を図り、このようなセミナーなどで糖尿病療養指導のレベルアップに取り組んできた結果といえる。
 平尾先生は、こういった勉強会が、他県や次世代の医療者にも広がっていくことを大いに期待しているそうだ。先生方の施設からも、糖尿病治療のヒントや勉強会のノウハウを探しに行かれてみてはどうだろうか。次回は、11月19日(土)に半日の研究会が開催される。(編集部)