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糖尿病聴診記

大阪版栄養調査を
公表して

上家 和子 かみや かずこ

脳神経外科医、厚労省医系技官などを 経て、初公募の大阪府健康医療部長に。
府民の健康・安全・安心を守るため 日々
がんばっています。

 大阪は食の都といわれます。大阪府では、食への意識と行動について、平成27年度に調査を実施し、28年度中の報告を目指して、高校生、若年者(18~29歳)、働く世代前期(30歳代)、働く世代後期(40~64歳)、高齢者(65歳以上)に分けて現在解析中です。
 最終報告に先立って、8月に、以下の4点をポイントとした速報版を公表しました。

 報道各社は、夏には、ニュース性はなくとも夏休みならではの話題を取り上げます。このため、夏休み用の記事ネタとして速報版を出したわけです。子どもが成長し、生活が自立するとともに朝ごはん離れが起こっていることや、料理する頻度と栄養バランスへの意識に関連性があることから、担当者は、4点のポイントのうちに焦点をあて、『夏休み中に家族で食事を作る経験は貴重』という解説を提供し、夏休みに家庭での食育を勧める記事を期待しました。
 ところが、公表当日から、テレビ各社が取り上げ、新聞各社が掲載したのは、の『重ね食べ』でした。「ラーメン+焼飯」「お好み焼き+ごはん」など主食を同時に食べる『重ね食べ』は大阪では一般的なメニューです。一方、関東では、たこ焼きやお好み焼きが『おかず』という組み合わせ自体、理解し難いようです。このため、大阪地域版と全国版の扱いは随分違ったトーンで、それぞれ『重ね食べ』に注目が集まったのでした。

 食文化・食習慣は個人にとっては日常であり、あたりまえの連続です。食を見直すためには、医学的・客観的な視点とともに、『わたしにとってのあたりまえ』という立ち位置から出発する必要があると思わされた報道でした。