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症例から学ぶ寺本内科・歯科クリニック(東京都)

糖尿病患者で
歯周病を疑うとき

糖尿病患者における、尿検査試験紙を使った
簡便な歯周病スクリーニング法と、
高齢者での内科歯科連携の重要性を症例から解説する。


寺本 浩平 てらもと こうへい

寺本内科・歯科クリニック理事長
日本摂食嚥下リハビリテーション
学会認定士
日本大学歯学部摂食機能療法学講座兼任講師

寺本 民生 てらもと たみお

帝京大学臨床研究センター
センター長
寺本内科・歯科クリニック
内科院長
日本糖尿病学会名誉評議員

西嶋 智子 にしじま ともこ

寺本内科・歯科クリニック
常勤歯科医

 歯周病の病巣から放出されるLPS(歯周病菌由来の毒素)やTNF-α(炎症性サイトカイン)は、インスリン抵抗性を惹起し、血糖値を上昇させる()。糖尿病と歯周病との相関は周知のことであり、内科・歯科連携が重視されているものの、実際には、十分に行われているとはいえない。

 その理由の1つとして、内科医が通院患者の口腔内所見から歯周病リスクを検出することが困難であることが挙げられる()。

 当クリニックでは、内科と歯科を併設しており、内科・歯科連携に力を入れている。当内科において、パイロット的に糖尿病患者における口腔内潜血反応を調査したところ、陽性患者が複数人認められた。併設する歯科への受診を勧め、歯周病と診断された症例の経過を追った結果、既報の通り、糖尿病のコントロール状況が改善され、歯科治療が内科治療に対して有用であることが認識された
)。