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ナースの目

患者さんから学ぶ

和田 幹子 わだ みきこ

すずき糖尿病内科クリニック
(神奈川県)
糖尿病療養指導士歴15年

 2016年4月から、神奈川県厚木市にある開院4年目の糖尿病専門のクリニックに勤務しています。患者数はおよそ1400人、1カ月の平均患者数は1000人です。スタッフは看護師が5人、管理栄養士2人、臨床検査技師1人、理学療法士1人で、7人が日本糖尿病療養指導士の資格を取得しています。

 クリニックでは①社会貢献ができる、②常に情報発信をしていく、③人を育てる、④人が集う、をポリシーに、最新の知識を習得するべく『糖尿病診療ガイドブック』などを使った勉強会が頻繁に行われています(写真)。また、糖尿病療養支援の質向上に向けて、スタッフおのおのが研究テーマを持って研鑽し、国内外の学会参加や発表を通してさらに学びを深めています。

 そのような恵まれた環境で、私は「患者さんから学ぶ」姿勢を大切に、療養支援を行っています。
 「お変わりないですか」から始まるいつもの療養支援ではありますが、目の前にいる患者さんの感情や思いに目を向けると、たくさんの発見があります。

 「ちょっと風邪気味で…」とおっしゃる60歳代の女性患者Aさん。Aさんは「風邪気味」と言いながらも笑顔で、どこか嬉しそうです。Aさんに風邪をひいた理由を伺ってみると、「孫と箱根に行ってきたの。日中暑くて汗をかいたものだから、夕方冷えたみたいで…」とのこと。お天気の良い中、中学生のお孫さんと一緒に、芦ノ湖から強羅まで箱根観光を楽しんだ様子をニコニコしながら話してくださいました。そして、その後ハッとした表情になり「また孫と旅行を楽しみたいの。そのためには私、健康でなくっちゃね」と、自分自身に言い聞かせるようにおっしゃいました。
 患者さんが糖尿病の定期受診や療養支援を楽しみに思うのは難しいとしても、ご自身の楽しみや生き甲斐に気付き、それをエネルギーにして病気と向き合うことをAさんから学びました。

 私は、日々の療養支援において、患者さんの気持ちに寄り添えているか、患者さんの代わりに問題を解決していないか、常に自分自身の関わり方を振り返るようにしています。これからも、患者さんが持っている力を信じ、それを引き出せるような療養支援を目指して、患者さんとともに学んでいきたいと考えています。