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 患者のQOL向上と、糖尿病治療の改善のためにも内科医が歯周病をスクリーニングする簡便な方法についての検討を行った。

 糖尿病患者の口腔内洗浄液で、尿検査試験紙の唾液潜血反応が++以上のものは、すべてヒトヘモグロビンモノクローナル抗体反応も陽性であったが、感度は尿検査試験紙の方が良好であり、偽陽性は認められなかった。これらの患者17例は、全員が歯周病と診断された。また、口腔内洗浄液で潜血反応陽性者の血清において、歯周病に関連する細菌抗体を検索したところ、代表的な歯周病原因細菌P. gingivalis(P.g.)に対する抗体が2症例を除いて陽性であった。
 一方、歯科において、歯周病と診断された2例についても、口腔内洗浄液潜血反応、P.g.抗体とも陽性であった。

 従って、内科での歯周病スクリーニング検査としては、口腔内洗浄液の尿検査試験紙による潜血反応という簡便な方法が有用であることが確認され、歯科医との連携の手掛かりになると考えられた()。一方歯科医では、歯周病重症度を判断し、重症例では内科受診を勧めることにより、早期の糖尿病発見につながると考えられる
)。