Home>バックナンバー>2014秋号TOP>施設紹介レポート

Q:食事指導の知識は医療者側にもぜひ必要ということですね。

福田:生活習慣病を診療していくのであれば必要不可欠です。最近は基幹病院でも外来栄養指導に力を入れて地域の診療所から依頼しやすいシステムをつくっているところが増えました。糖尿病の地域連携パスなどの構築も進んできていますので、そのようなパスを利用することも大切だと思います。
 また、LCDE(地域糖尿病療養指導士)の講習会などにコメディカルの方にぜひ参加して勉強してもらいたいです。できるだけコメディカルに療養指導を受け持っていただくと、医師は他の診察に時間をかけられますし、コメディカルのモチベーションアップにもつながります。また、日本糖尿病協会では、登録医や糖尿病療養指導医の資格を取得するための勉強会も開催していますので、先生方も参加され勉強する事も可能です。

Q:先生が提唱されている「腹やせ」の意味とそのための運動療法について教えてください。

福田:「腹やせ」は私がつくった造語です。いわゆる「りんご型の体型」で腹まわりが大きくなり、皮下脂肪ではなく、内臓脂肪が多くなるとアディポネクチンの分泌が減り、血糖値や中性脂肪、血圧が高くなり、動脈硬化が進行しやすくなります。
 腹まわり1cmの増加は約1kgの内臓脂肪がついた結果で、約7000kcalに相当します。1か月で1㎝「腹やせ」するには、1日約230kcalを食事や運動で減らす必要があります(表)。「腹やせ」=「腹筋運動」とイメージする方も多いですが、腹筋では「腹やせ」は実現しません。「腹やせ」は、生活習慣を改め、食事を見直し、有酸素運動を行って初めて実現できます。有酸素運動に最適なのは、好きな時間にあまり体に負担をかけずに行うことができるウォーキングです。

Q:先生のクリニックでは、ウォークラリーなどもイベントとして開催されていますね。

福田:クリニック主催で春に1回、秋には日本糖尿病協会主催のウォークラリーに患者さんと一緒に参加しています(写真)。イベントに1日参加するだけでは、血糖コントロールが良くなるわけではありませんが、イベントを通じてスタッフや患者さんとの交流が深まることに意義があります。外で患者さんと話しながら歩くと、患者さんの知られざる一面をかいま見ることもあります。そして、歩くことが楽しいと思う体験が大切です。現在、各地域の糖尿病協会などが主催する糖尿病患者会のウォーキングイベントがありますので、診療所で日本糖尿病協会に加入し患者会を組織して患者さんと一緒に参加されてはどうでしょうか。