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症例から学ぶ小山イーストクリニック(栃木県)

グラフ化により
データ変動を可視化





大橋 博 おおはし ひろし

小山イーストクリニック理事長
(栃木県)
日本糖尿病学会糖尿病専門医
全国臨床糖尿病医会 副会長

電子カルテを活用して、患者さんのさまざまな検査データをグラフで可視化することからわかる
症例の背景を紹介します。

 採血や検尿も重要ですが、糖尿病患者さんにとって体重測定ほど重要なものはないと思います。当院では、月1回の受診時に、自動身長体重測定計で着衣のまま身長と体重を患者さんご自身で測定してもらい、HbA1c、血糖値や食後時間などとともに、電子カルテに入力します。
 電子カルテのグラフ表示ボタンをクリックするとのような変動グラフが患者さんの前にあるパソコンに自動的に表示されます。このグラフを見ながら、患者さんから最近の生活状況について報告を受けると、より多くの情報が得られます。

 一般的には、盆暮れ正月などの季節変動で体重が増え、HbA1cは1~2カ月遅れて上昇することが認められます。のHbA1cと体重が平行移動するパターンは肥満糖尿病患者だけでなく、BMIが18~20前後の比較的痩せている患者さんにも認められ、わずかな体重増加でもHbA1cは悪化につながります。中年以降に体重が増えた場合、筋肉は増加せず、体脂肪や内臓脂肪の増加につながります。その結果、インスリン抵抗性を引き起こし、血糖コントロールの悪化に直結することが示唆されます。