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極める! くすりと療養指導(2回連載)

シリーズ 1

低血糖への対策

佐竹 正子 さたけ まさこ

日本糖尿病療養指導士
薬局 恵比寿ファーマシー
管理薬剤師 

糖尿病患者の増加に伴い糖尿病薬も増え、服薬指導する機会は多い。
薬物治療として使用される経口薬7種類、注射薬2種類の糖尿病薬は
ハイリスク薬として分類されている。
当薬局で行っている低血糖の対処法を紹介する。
 低血糖については毎回の服薬指導時に説明をしているが、薬剤の変更時や食事・運動についての質問に対応していると、低血糖への注意喚起について患者の記憶が薄くなってしまうことがある。そのため当薬局では毎年期間を決めて、の内容について詳しく確認・説明を20年以上行っている。これは患者がブドウ糖を携帯して、低血糖発現時に適正量ブドウ糖を摂取して重症低血糖を回避ができることを目的としている。その結果、低血糖への不安感からくるアドヒアランスの低下を防ぎ、薬物療法での治療効果を高めることが期待できる。
 当薬局の集計では、低血糖を経験した患者はブドウ糖の携帯率が高く、低血糖の発現時の症状を知っている患者はブドウ糖携帯率も高いことがわかった。しかし糖尿病薬を服用すると低血糖が起きることは知っていても、具体的な低血糖症状の情報がないと、今感じている不快感が低血糖と認識できず、その経験を生かせずにブドウ糖の携帯率が下がる傾向がある。つまり糖尿病薬の低血糖に関する服薬指導では、具体的な低血糖の前駆症状を説明して理解させることが重要である。