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 更年期症状は、漢方で改善が期待できる場合もある。

 「婦人科への紹介も行っていますが、当院では、まず漢方の処方を行うケースが多いです。例えば、ホットフラッシュで汗が止まらないという方には『女神散(にょしんさん)』、イライラや不安など、気持ちの不調には『加味逍遙散(かみしょうよう)』、むくみや頻尿には、『防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)』をよく使います」。また、「更年期は一時的なもので、一生は続きません。あと数年でつらい時期は終わりますよ」と、将来のめどを伝えると、安心する患者も多いという。

 「40、50代の女性患者さんで、血糖コントロールが悪化したり、太りやすくなったりしてきた方には、更年期について事前にお伝えしています。『最近生理の調子はいかがですか?』とお聞きし、心当たりがあれば『閉経に向けて、身体が準備しているのかもしれませんね』と、お話しします。年齢による身体の変化を、患者さんご自身で納得されると、治療にも前向きになってもらえるのではないかと思います」

 患者さんへ月経や更年期について、男性医師から尋ねにくい場合は、女性コメディカルの力を借りてもよいだろう。

 処方薬についても性差による注意が必要だ。SGLT2阻害薬は、尿から糖を排泄することで、血糖値を下げるため、尿路・性器感染への注意が必要だが、女性の場合、恥ずかしさなどから、医師に言い出せない人も少なくない。

 「特に太っている女性は、陰部に圧がかかりやすく、また、清潔にするのが難しいため、膀胱炎や性器カンジダ症になりやすいようです。こちらから積極的に感染症などがないか問診し、月経中に陰部がかゆくなってしまうという方には、その期間は休薬するよう指導しています」

 また、SGLT2阻害薬のメリットとして、体重減少効果が期待されるが、患者によっては、最初から「この薬は体重が減るよ」と言ってしまうと、それに甘んじて食べてしまったり、空腹感が増したりするケースもある。そのため岡本内科では、ファーストチョイスには、ビグアナイド薬やDPP-4阻害薬を処方することが多いそうだ。