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 糖尿病の男性では、男性ホルモンのテストステロン値が明らかに低下していることが知られている1)。さらに糖尿病による細小血管障害の合併症がED(勃起不全)として表われる患者も少なくない。テストステロンの低下が筋肉量の減少を引き起こし、ひいてはインスリン抵抗性による糖尿病の悪化、という負のスパイラルが見られる。

 岡本内科では、更年期を疑い受診した男性患者には、任意でテストステロンの血中濃度を測定する検査を実施している。
 「実際に測定すると、正常値内の方も多いです。『男性ホルモンが足りない、更年期だ…』と思い込んでしまっているのですね。結果をお伝えすると、それだけで安心して、元気になる方もいらっしゃいます。男性は特に、数字で納得しやすいので、まずは測って、データを見せるといいと思います」
 さらに希望の患者には、毎回インボディー(体成分分析装置)で体重、体脂肪、筋肉量などの体組成測定を行っている()。手足や体幹など、部位別の筋肉量も分かるため、例えば太腿の筋肉が少ない人へは、「食後に、会社の階段を3階まで3往復しましょう」など、具体的でわかりやすい指導を行う。インボディー測定では、運動の成果が数値で表われるため、毎回の計測をモチベーションに、トレーニングに励む患者も多いそうだ。

 岡本内科では、ダイエット外来も積極的に行っている。近年、糖質制限ダイエット(低糖質食)がNHKの健康番組や、新聞などでも取り上げられ、話題となっている。患者は、メディアなどの情報に流されやすく、中には、極端な糖質制限に走るものもいる。

 しかし、糖質(ごはんやパン、麺などの主食)を制限する分、カロリーをたんぱく質や脂質で補うことになり、動脈硬化の進行や、心筋梗塞、脳梗塞のリスク上昇などが報告されていることは、あまり知られていない。

 ハーバード大学のFungらが約13万人を20〜26年長期追跡調査し、『高糖質食(総摂取エネルギーの60%程度)』群と『低糖質食(35~37%)』群を比較したところ、『低糖質食』で総死亡リスクが12%上昇、さらに『低糖質+動物性食品群』では、循環器疾患による死亡リスクが14%、がん死亡リスクは28%高くなり、糖質制限を強めるほど死亡などのリスクが上がるという結果が報告された2)
 さらに、国立国際医療研究センター研究所の能登らが行った約27万人のデータのメタ解析でも、糖質を1日の総摂取エネルギーの30%以下に制限すると、60~70%の場合と比べて総死亡リスクが31%も上がっていた
3)