横野 DPP-4阻害薬が半数以上の患者で用いられていたわけですね。
土井 やはり、安全性の点からDPP-4阻害薬の使用が増えているのだと思います。
治療薬と低血糖の発現にはどのような関係がみられましたか。
福田 単剤投与における低血糖の発現は医師の回答でも患者の回答でも、やはりインスリンがいずれも30%以上と最も多く、DPP-4阻害薬での低血糖発現率は医師の回答で1.7%、患者回答で3.3%、SU薬はそれぞれ4.0%と6.1%でした。SU薬で意外と少ないのは、単剤のみのデータであったためではないかと思います。
また、確かにDPP-4阻害薬単剤使用における低血糖の発現は少ないのですが、インスリンを併用するとやはり増えてきます。しかし、興味深いことに、DPP-4阻害薬とインスリンの使用・未使用の組み合わせで検討してみると、DPP-4阻害薬未使用・インスリン使用の場合に比べて、両者を併用したときのほうが低血糖の発現が少ないことがわかりました(図5)。SU薬とDPP-4阻害薬の組み合わせでも同様の結果が得られています。これはおそらく、DPP-4阻害薬を併用する場合には、インスリンあるいはSU薬の用量が低く抑えられているためではないかと思います。また、日常臨床においては、DPP-4阻害薬を上乗せすることによって血糖の日内変動の振れ幅が小さくなることも経験しますので、それも理由の1つかもしれません。
横野 非常に興味深いデータだと思います。日本糖尿病学会による「DPP-4阻害薬と併用してインスリンを減量していきましょう」という勧告について、データによる裏づけが示されたわけですね。さらに、その勧告が一般臨床医の先生方に浸透してきていることも表しているのでしょう。