Home>バックナンバー>2015夏号TOP>施設紹介レポート

Q:地域連携に関してどのように考えられていますか。

手納:どこか、1カ所の施設が抱え込むのではなく、だれがどの施設に行っても地域として診てもらえ、それをコーディネートするように地域連携を進める必要があります。医師に何かあったときに、その患者さんが困らないよう地域全体で診ていくのです。
 これからは、高齢者医療の問題もあります。地域によっては、近くの施設でないと自力で通えない高齢者がたくさんいます。専門医でない医師があらゆる疾患を診ていく必要があり、地域連携が非常に大切です。

Q:高齢者の糖尿病は、どういった点に注意したらよいですか。

手納:高齢者とはいえ、どの程度余命があるかはわかりません。甘くなりすぎてはいけないので、さじ加減が難しい。薬剤選択では、DPP-4阻害薬が用量設定をしなくてよく、単剤では低血糖を起こさないので、安全性を求めるなら安心です。実際インスリン分泌が残っている方には、よく効きます。

Q:先生は地域で糖尿病に関する薬局のネットワークを作られたそうですね。

手納:かかりつけ医だけでなく専門医であっても、患者さんのフットケアや歯周病の療養指導については、十分にできているとは限りません。診療の出口となる保険薬局でもある程度の指導をしてもらえると、地域全体として療養指導ができるという発想から、糖尿病に関する薬局のネットワークが始まりました。しかし、薬剤師は職域を越えず、主治医の説明と齟齬がないよう留意、徹底します。
 薬局でどういった療養指導ができるか、①食事、②運動、③網膜症の啓発、④腎症の啓発、⑤フットケア、⑥シックデイなどいろいろ検討して、一番効果があり、患者さんの行動が変わったのが、フットケアでした*2。靴を履くとき、慣らしてから履くなどの予防的フットケアの指導を薬局に協力してもらっています。薬局で情報提供や啓発活動をして、問題が見つかった場合は、主治医に相談するようアドバイスしたり、フットケア外来のある医療機関を紹介します